猫の腎不全
2023年04月03日
猫は犬よりも慢性腎不全の発生が高く、高齢では死因の第1位を占めます。
発症率は7~8才からだんだん増えていき、10才で5%、15才で15%、20才で20%がこの病気で命を落とすとまで言われています。
また初期には症状が目でみて、ほとんどわからないです。
また血液検査の数値だけでは、初期の慢性腎不全では異常値がみられないので、見過されることもあります。
異常値が出た状態のときは、すでに70~80%の腎機能が失われてしまっているといえます。
初期の発見には、尿検査が欠かせませんので、中高年期に入ったら、健康チェックの1アイテムとして、この項目を入れるようにして下さい。
尿比重の解釈の仕方
また比重の低下がみられ始めたら、なるべく早い段階から腎機能を保護する食事を与えて下さい。
腎不全は治らない病気なので、今ある(残っている)機能をどれだけ長持ちさせるかにかかっています。 当院では、様々な処方食を用意してあり、当初サンプルをいろいろお出しして気に入ったものを選んでもらっています。
1,050< | 異常高値 | 腎臓における尿の濃縮力は十分にあるが、脱水が存在する可能性あり |
1,030~1,050 | 正常値 | 腎における尿の濃縮力は十分にある |
1,025~1,030 | 再チェック | 腎における尿の濃縮力はあるものの、十分とはいえないため、定期的に尿比重を検査する必要あり |
1,020~1,025 | 要チェック | 腎における尿の濃縮力に問題があると考えられるため、血液検査などの他の腎機能検査も行うべきである |
>1,020 | 異常低値 | 腎臓において、尿の濃縮力に明らかに問題があり、腎不全を疑う |
最近の治療
特異的治療(原疾患の治療)、対症療法(症状の緩和)があげられるが、最近では、いかにして腎不全の進行を抑制するかに移ってきています。
ACE阻害剤は慢性腎不全の病態で引きおこされる、腎性高血圧の改善、糸球体内圧の改善、腎組織保護作用、尿タンパクの改善といった作用のあることが認められてきており、積極的に治療にとり入れています。